"絆" KIZUNA プロジェクト 2019 報告


イスラエル、日本、パレスチナの青少年の里山・対話交流プログラム~持続可能で平和な社会のための” ひとのネットワーク” 作りをめざして~
 
Peace Field Japan は、2019年も8月に"絆" KIZUNA プロジェクトを行いました。イスラエル、日本、パレスチナの青少年が、人と自然との調和や共生の精神を受け継ぐ里山の暮らしや伝統文化にふれる体験を共有することで、互いを理解し、絆を築くとともに持続可能な社会をつくるために何ができるのかを一緒に考える場を提供しました。

プログラム概要


1)参加者:
イスラエルの高校生女子4名、指導者1名
パレスチナ(西岸)の高校生女子4名、指導者1名
日本の19-20才の女子4名
 
2)開催地:山梨県北杜市、小菅村、東京都内
 
3)プログラム概要
●期 間: 8月6日 ~ 20日
●場 所:山梨県北杜市、小菅村、東京都内
●参加者 :イスラエル、日本、パレスチナの高校生、大学生女子各4人(計12人)
●主 催: 特定非営利活動法人 Peace Field Japan
●助 成: 一般社団法人東京倶楽部、公益財団法人キワニス日本財団
●協 力: 公益財団法人キープ協会
●後 援: 外務省、文部科学省、小菅村役場、小菅村教育委員会
●協 賛: 横浜南ロータリークラブ、(有) アオキエアコンディショニング  
●物品協賛: 川崎ロータリークラブ、株式会社東あられ本鋪、アリサンオーガニックセンター、インド&パキスタンレストランスルターン、株式会社はくばく、株式会社良品計画、横浜瀬谷ロータリークラブ
●ご寄付(KIZUNAサポーター): 青村健太郎さん、明石康さん、アドリアノ正子さん、石橋真里奈さん、伊藤憲悟さん、稲葉恒平さん、太田和代さん、大橋俊弘さん、蒲 隆夫さん、河合束さん、川﨑智晴さん、岸 厚子さん、草薙千尋さん、久米真浩さん、倉田幸一さん、桑田あゆみさん、小林琴里さん、紺野美佐子さん、齋藤英美さん、齋藤眞理さん、桜井裕子さん、佐々木光恵さん、颯田裕彦さん、杉浦武胤さん、鈴木康昭さん、高谷健一さん、高橋絵美さん、鷹觜悠史さん、高畑賢太郎さん、田中麻紀さん、千北友佳理さん、Mark Choさん、角井幸一さん、中原大輔さん、野渡和義さん、西澤穂高さん、長谷明日香さん、長谷川成人さん、馬場桜子さん、福田あつ美さん、藤原知宙さん、藤本千尋さん、藤城善信さん、ボリーノ麻美さん、水谷透さん、吉田ももさん、吉田幸平さん、吉田和古さん、矢田重明さん
●物品ご寄付:阿部功・登美子さん、太田敦之さん、鹿沼正さん、鹿沼勉さん、木下新造さん、木下忠三さん、高岸英行さん、神藤良康さん、高谷健一さん、中澤幸枝さん、村橋克雄・静子さん、吉田富枝さん
●ご協力いただいた方々
・キープ協会:浦壁真琴さん、石川昌稔さん
・小菅村:教育委員会:守重公英さん、源流振興課:佐藤誠さん、小菅中学校教職員のみなさま、林業廃棄物センター:細川雅之さん
長作地区:守重市平さん、守重敏夫さん、守重廣子さん      
NPO法人多摩源流こすげ: 青柳博樹さん、石坂真悟さん、鈴木一穂さん、寺田寛さん   
地域おこし協力隊:福田あつみさん
ホストファミリー:権正佳子さん 露木セツ子さん 松岡大さん 村上伸哉さん
多摩川源流大学のみなさま
・その他:齋藤伸介さん
●ボランティアスタッフ:安藤真伊、石橋真里奈、浦崎笑子、飯塚麻結、石川真祐子、沖田雅美、上木香歩、菊池紗希子、北川あすか、桐生愛、小林琴里、小松春奈、櫻井翔太、柴原咲里、清水愛莉、白石真由子、鈴木春菜、高山夏実、武田瑞穂、谷口明奏、徳中桃子、姫井風音、福地美友、藤城善信、藤本千尋、増村光星、松浦孝弥、安田純矢、吉川芽吹、Rahaf Abu Kaff 、Mia Talmor

プログラム内容

 

8月6日

 
前日に到着していたイスラエル人、パレスチナ人参加者と日本人参加者が都内で合流し、キープ協会に到着。清里高原の森ときれいな空気に、これから始まるプログラムへの期待が高まりました。

8月7日

 
午前中は、聖ヨハネ幼稚園を訪問し、園児たちに案内されながら森を歩きました。園児たちの植物や昆虫の知識の豊富さに驚き、自然の中での遊び方を教えてもらいました。最後は、園児たちの歌に涙ぐむ参加者も。昼食の後は、ポール・ラッシュ記念館で、キープ協会の創設者であるポール・ラッシュ氏が、日本人の仲間と信頼を築き、困難を乗り越えてその人生の中で達成した偉業について講義を受け、ラッシュ氏が示した"人と人の交流の大切さ"を学びました。同氏が生前住んでいた家も見学し、同氏の人生にふれました。次は、石川さんによるネイチャープログラム。吐竜の滝まで歩き、川に足をつけると、あまりの冷たさに驚き、滝の下に入ってずぶ濡れになる参加者もいました。夕食後は、思い思いに葉っぱを集め、それらをスタンプにして、世界で一つしかないバッグを作りました。森は様々な木が共生して成り立っているというメッセージが、参加者の心に残りました。

8月8日

 
小菅村に到着。大勢のボランティアスタッフに迎えられました。昼食、自己紹介の後、みんなで共同生活のルールを作りました。茶道体験では、絆プロジェクトのキーワードの一つである「一期一会」の意味を学びました。この日から、参加者全員が一つの大部屋で寝起きする共同生活が始まりました。そして、ピース・プラクティショナーのローラさんによるハートコミュニケーション講座。持ってきたそれぞれの赤ちゃんの頃の写真を並べ、その頃のように心を開いて接し合うことの大切さを確認するとともに、プログラム中のコミュニケーションの基本となる「Love, Respect, Compassion」について一緒に考えました。

8月9日

 
絆プロジェクトの基本理念を学ぶ「里山講座」を行いました。自然の循環の仕組み、里山の価値、小菅村についてなど、プログラム中の様々な体験活動を行うにあたって必要なことを学ぶ講座です。今年は、前年の日本人参加者4人と、ボランティアスタッフとして再び参加したイスラエルのミア、パレスチナのラハフの6人が一緒に、講座を行いました。6月からSNSを使って一緒に準備を進めてきた甲斐があり、参加者たちからは、わかりやすかった、と評判でした。午後は、小菅中学校がこの日を登校日にして受け入れていただいた交流プログラム。中学3年生が、小菅村や日本文化について英語で紹介したり、書道やソーランを披露したりしてくれました。第二部はゲームによる交流会。様々なゲームを楽しんだ後、メッセージ交換で思い出を残しました。中学生たちに校内を案内してもらい、イスラエルやパレスチナの学校とまったく違う日本の学校に興味津々。日本の学校では、生徒が自分たちで校舎を掃除することや給食があることに驚いていました。


8月10日

 
まず、長作地区の散策から始まりました。4グループに分かれ、里山講座で学んだことを各ポイントで確認。ゴールは、守重敏夫さん、廣子さんご夫妻の畑です。そこでそばの種まき体験。"みんなの赤ちゃんだと思って、愛情を持って撒きましょう"というスタッフの声がけで、優しく心を込めてまく姿が印象的でした。これは絆プロジェクトが始まって以来続けられているアクティビティで、今回蒔かれたそばは、秋に日本人参加者とボランティアスタッフが収穫し、次年の参加者に受け継ぐという、そばによる「絆」の継承です。種まきの後は、守重夫妻が心を込めて育てた、もぎたてのトマトやキュウリをいただき、農薬も化学肥料も使わない野菜の味を堪能しました。環境にも人にもよい野菜を作るには大変な努力が必要なことも知りました。夜は、浴衣姿で橋立地区のお祭りに行きました。地区の方々が代々継承しているお神楽に、伝統の継承とコミュニティのつながりを感じました。

8月11日

 
午前中は源流体験。天気に恵まれ、日差しを浴びてキラキラ光る緑の中、川を遡っていきました。水に逆らって淵を泳ぎ切るという最初の難関も突破、水流に押し流されそうになりながらも、小さな滝を登りました。毎年恒例となった大きな岩からのジャンプ。恐怖に打ち勝ち飛び込むと、もう一度、と、リピートする参加者も続出。豊かな森ときれいな水の関係、川がつなぐ上流の森と下流の都市の関係についても学びました。夕方は、小菅で育ったニジマスを串刺しにして炭火焼。串に刺すのをためらう参加者もいましたが、小菅の自然と清流があってこその恵みに舌鼓をうちました。

8月12日

 
各自が持ってきた着古した Tシャツで、布草履の作り方を村の"先生"から教わりました。参加者たちは、四苦八苦しながらも根気強く、色とりどりのオリジナル草履を作り上げました。身の回りにあるものから生活に必要なものを作る手仕事の意味を考えました。昼食後は、新聞紙を利用しての新聞紙バッグ作り。プラスチックゴミの削減が世界的な課題になっている中、レジ袋の削減に貢献できると、真剣に作りました。その後は、そば粉を使ったそばせん作り体験です。生地を丸める、焼型で焼く、焼印を押すという作業の後、長作地区でそばせん作りを始めた頃の話も伺いました。焼きあがったそばせんの素朴な味は大好評でした。

8月13日

 
役場の佐藤さんの案内で、小菅村の環境を守る取り組みについて学びました。白糸の滝できれいな森と水を感じ、リフレッシュ。養魚場では、池の排水を浄化してから川に水を戻していることを知り、下水処理場では、多摩川の源流にある小菅村の責任として、下水を完全に浄化して水を川に戻す過程を見せていただきました。参加者たちは小菅村の徹底した環境を守る取り組みに驚いていました。間伐された森が見える場所で、森林を取りまく状況とその課題、取り組みについて説明していただきました。間伐は森を維持する上で必要なことであるにもかかわらず、グローバル化や社会の変化から困難になっていること、下流域の東京の企業が、自分たちの責任と捉えて森林を守るための活動を行なっていることも学びました。午後は、林業廃棄物センターで、細川さんが、生ゴミを堆肥にして袋詰めするまでの全工程を、一つ一つ詳しく見せてくださいました。宿舎から持ってきた自分たちの生ゴミ7.4kgをかくはん機に入れました。完成した堆肥はまったく臭いがなく、信じられないようでした。普段考えることもなかった、自分の出したゴミの行方を目の当たりにし、これらの作業を細川さんが一人でやっておられることに大変驚き、自分たちの知らないところで、環境を守るために働いてくださっている方がいることに感謝するしかありませんでした。その後、守重さんの森で間伐体験。午前中の復習で、間伐が必要な理由をゲームで体験。慣れないノコギリを使って、"がんばれ"の声がけの中、交代でやっとのことで2本のヒノキを切り、間伐が大変な作業であることを身をもって実感しました。切ったばかりのヒノキの香りにうっとりし、記念に持って帰るために倒した木を輪切りにし、思い思いの言葉を書きました。

8月14日

 
全員で自分たちの部屋や廊下の大掃除をしてから、そば打ち体験。2018年の参加者が蒔いて、秋に日本人参加者や学生スタッフが収穫したそばを使ってのそばうちです。石臼でそばの実をひいてから、表面が滑らかな生地を薄く延ばし、交代で丁寧に細く切っていきました。ゆで上がったそばに大歓声。守重さんが愛情をこめて育てた野菜のてんぷらと一緒に食べ、大満足でした。地域で受け継がれてきた食文化のありがたみを感じました。その後は箸作り体験。多摩源流こすげの福田さん、寺田さんの指導により、小菅伝統の箸の作り方で挑戦。かんなの扱いに苦労しながら、様々な形の箸ができました。最後に焼きペンで名前やイラストを入れて完成。この日の夕食は、”キャラ弁"でした。和食の素材や味の特徴を学んだ後、卵焼き作りに挑戦。様々なおかずと共に、個性豊かな”キャラ弁"ができました。

8月15日

 
あいにくの雨で、楽しみにしていた山登りを断念。そのかわり、舩木村長自ら小菅村の道の駅を案内してくださいました。村の観光振興の拠点である道の駅について説明いただいた後、レストラン、温泉、フォレストアドベンチャー、物産館と次々に見学。タイニーハウスプロジェクトの取り組みも知ることができました。小菅村でのKIZUNA10周年にあたり、2016年の参加者たちが植樹させていただいた紅葉の木と記念の木碑の前で記念撮影。2016年の参加者たちも、自分たちが植えた木が小菅で育っている様子を見て、また戻ってきたい、という思いを強くしたようです。できたばかりの素敵な古民家ホテルも見学させていただき、様々な形で地域活性化に取り組んでいることが強く印象に残りました。夕方からはホームステイ。村の方々のお宅で、忘れられない楽しい時間を過ごすことができました。

8月16日

 
参加者たちがホームステイから戻ってきました。横浜南ロータリークラブと川崎ロータリークラブの方々にお越しいただいての交流会。綿菓子やヨーヨー釣りなど、日本の縁日企画を用意してくださり、中庭で昼食を食べながら楽しみました。恒例になった、差し入れにいただいた大きなスイカでスイカ割の後は、ディズニーをテーマに、歌ったり、踊ったりの楽しいひと時。今年は、学生ボランティアスタッフも頑張って、ディズニーのダンスを披露しました。最後は、自然に還る素材の風船で一斉にバルーンリリース。このころには雲もなくなり、青空に高くあがっていく色とりどりの風船に、それぞれが思いを込めました。夕方は、そばをまいた畑を見に。一週間前に蒔いたそばが、元気に芽を出していました。”My baby"と、心を込めて撒いただけに、思いもひとしおだったようです。そして夜は書道体験。「絆」の文字を思い思いに書いた後に、くじで引いた参加者やスタッフの顔を描いて当てあい、中にはあまりの出来の似顔絵に、大笑いでした。

8月17日

 
プログラムを終えるにあたってのまとめを行う日です。プログラム中の様々な体験から学んだこと、得たことを自分のコミュニティで活かすために、各自のアクションプランを作りました。それぞれ、具体的で個性あふれるアクションプランができました。発表のセッションでは、発表者に質問もたくさん出て、お互いに拍手で励ましあいました。夜は、全員での最後のシェアリング。コミュニケーション講座で使った、持ってきた赤ちゃんの頃の写真をそれぞれに返却しながら、一人一人が他の参加者全員に対して、メッセージを伝えあい、終わった頃は夜もすっかり更けていました。

8月18日

 
小菅村での最終日。朝から夜の村の方々との交流会に向けて、飾り付けや中東料理作りに励みました。今年も、ホストファミリーの方々、子どもたち、お世話になった村の方々がたくさんいらしてくださいました。一生懸命作った中東料理を味わっていただいた後、練習を重ねてきた踊りや歌を披露しました。スタッフによる出し物も好評で、村の方々にも楽しんでいただくことができました。

8月19日

 
小菅村を後にして東京へ。都内視察の後、フェアウェルパーティー。プログラムを振り返るスライドショーの後、修了証の授与と参加者からプログラムを振り返っての一言。プログラム最後の夜、再会を期して参加者もスタッフも別れを惜しみました。

8月20日

 
日本人参加者が成田空港まで見送りに行き、イスラエル、パレスチナの参加者帰国。13回目の絆プロジェクトが無事終了しました。

関連の活動

 1) 講演会/報告会(2019年12月開催予定)
 2) イスラエル、パレスチナへのスタディーツアー(2020年3月開催予定)
 

参加者からのメッセージ

このプログラムを通して、多くの初めて会った人たちとつながりを築き、新しい友達がたくさんできました。それも、本当にあっという間に、お互いに絆を築けたと思います。自然とのつながりを感じることができたので、前よりもっと自然に感謝し、愛する気持ちが芽生えました。自然を大切にしていきたいと思うようになりました。
<イスラエル人参加者>
 


私たちが手にしているものすべてに感謝しなければいけないこと、また、自然を大切にしないといけないことを学びました。自然は常に、私たちに必要なものを与えてくれ、自然がなくては生きていけません。どのように自然を大切にするのか、村の方々が教えてくれました。
<イスラエル人参加者>
 


自然、そして、私たちに必要なものを与えてくれる全てのものに感謝することを学びました。
<パレスチナ人参加者>
 


自分自身について見つめ直す機会となりました。一緒に過ごした人たちは、自分にとって2番目の家族のようで、お互いにもらいあい、与えあうことができたと思います。
<パレスチナ人参加者>
 


小菅村での生活を通じ学んだのは、自然と共生するには多くの努力がいること。普段、便利なものに囲まれ、そういった苦労を知らないで生活を送っていた私は、これが現実なんだと気付きました。自然とのギブ&テイクの関係を作るには多くの努力が必要で、便利だけを求めて努力することを忘れてはいけないと思いました。今回のプログラムで改めて自分のこれからの生き方について考えるようになりました。
<日本人参加者>
 


このプログラムでは多くの人との絆を感じました。小菅村の方々、このプログラムでの学びを助けてくださった多くの方々、多くの場面で支えていただいていることを実感しました。他の参加者と、互いに助け合い、協力し合い、尊重し合い、愛をもって接することで絆が生まれたと思います。日本に住んでいながらも、すべてのことが新鮮で、たくさんの気づきがありました。多くの人に支えていただいたからこそ、充実した日々を送れたと思います。
<日本人参加者>