"絆" KIZUNAプロジェクト 2023 報告
Peace Field Japanは、2023年8月11日~21日に、山梨県小菅村において「“絆”KIZUNAプロジェクト2023」を実施しました。
2007年〜2019年に行ってきた「絆プロジェクト」は、イスラエル、日本、パレスチナの青少年が、日本の里山地域で受け継がれてきた自然、文化、暮らしからの学びをベースに、持続可能な社会のあり方を共に考え、自分たちの地域での行動につなげてきた。ポストコロナの再開プログラムとなった2023年は、パレスチナ人と日本人参加者が、山梨県小菅村において、里山のライフスタイル、持続可能性、地域の課題解決の取り組みなどに関する体験活動を行い、持続可能な社会を実現するための行動計画を作りました。終了後、それぞれのコミュニティに戻り、自分の行動計画をスタートさせています。また、「哲学対話」の手法を元に、「絆プロジェクト」ならではの「TAIWA」の実践を行い、多様な意見に耳を傾けて視野を広げ、思考を深めるトレーニングを行い、コミュニケーション力を育むことにも力を入れました。
今回は、「“絆”KIZUNAプロジェクト」が始まった2007年のパレスチナ人参加者がリーダーとなり、現在所属するパレスチナの女性団体でボランティアをしている大学生が参加しました。彼女は、16年前に得た学びが原点となりこの団体で活動を始めるに至り、次の世代にも学びと経験の機会を与えたいと、今回のプログラムが実現しました。日本とイスラエル、パレスチナの参加経験者が数多くボランティアスタッフとして体験活動の提供、プログラム運営、学生ボランティアの育成に関わり、彼らアルムナイのメンバーがプログラムの運営に大きな役割を果たしました。将来の持続可能な社会のあり方に対するビジョンを共有する三地域の若者が、自分たちの経験と学びを次世代に継承する機会となり、これまで関わってきた若者たちのヒューマン・ネットワークをさらに深化させることができたと共に、新たに今回の参加者も加わり、その輪を広げることができました。
プログラム概要
●期 間:2023年8月11日〜21日
●場 所:山梨県小菅村
●参加者 : 日本の大学生7人、パレスチナの大学生4人、リーダー1人
●主 催 : 特定非営利活動法人 Peace Field Japan
●助 成 : 一般社団法人東京倶楽部、公益財団法人三菱UFJ国際財団、公益財団法人キワニス日本財団
●後 援 : 外務省、小菅村役場、小菅村教育委員会
●協 賛 : 横浜南ロータリークラブ、(有)アオキエアコンディショニング
●物品協賛:横浜南ロータリークラブ、川崎ロータリークラブ、株式会社東あられ本鋪、堂本製菓株式会社
●ご寄付(KIZUNAサポーター):鈴木康昭さん 一般財団法人未来2016
太田敦之さん、河合束さん、川﨑智晴さん、久米真浩さん、紺野美沙子さん、颯田裕彦さん、杉浦武胤さん、鈴木紅子さん、水谷透さん、矢田重明さん
●物品寄付:鹿沼正さん、高岸英行さん、中澤幸枝さん、森直子さん、山田均さん、吉田富枝さん
●ご協力いただいた方々:
・小菅村:源流振興課 中澤朋花さん、久住侑士さん、保育所の職員のみなさま、林業廃棄物施設:細川雅之さん
・NPO法人多摩源流こすげ:石坂真悟さん
・NPO法人源流みらい:青柳諭さん、黒川文一さん、佐藤英敏さん
・株式会社源:寺田寛さん、福田あつ美さん
・長作地区:守重市平さん、守重敏夫さん、守重廣子さん
●ボランティアスタッフ:石橋真里奈、伊藤百咲、梅津大聖、浦崎笑子、加藤里奈、上木香歩、菊池紗希子、小林琴里、柴原咲里、高山夏実、武田瑞穂、中村奈生、羽子田直人、福田あつ美、安田純矢、横田優、良知愛子、Yerousalem Getto、Rahaf Abu Kaff
プログラム内容
8月9日
パレスチナ人参加者到着
8月10日
時差調整
8月11日
日本人参加者小菅村到着、アイスブレーク、オリエンテーション、振り返り
8月12日
里山/小菅講座、集落散策、体験(農作業)、振り返り
8月13日
体験(草履作り、そば打ち)、振り返り
8月14日
体験(木帯を使ったコースター作り)※雨天により源流体験が実施不可能となり計画変更
マインドフルネス、TAIWA、振り返り
8月15日
自然体験(森の美術館)、音楽/アートプログラム、TAIWA、振り返り
8月16日
源流の森視察(森林保護の取り組み、水を通しての上流域と下流域のつながり)<下水処理場、源流の森、林業廃棄物施設視察>
パレスチナ料理作り
8月17日
体験(森林管理作業、間伐材を利用した伝統の箸作り)、日本料理作り
8月18日
保育所訪問(園児との交流)、NPO法人源流みらい事務所訪問、夏祭り
8月19日
プログラムの総括、行動計画作り、発表、パレスチナの文化紹介
8月20日
横浜南ロータリークラブ、川崎ロータリークラブ会員との交流、和楽器のコンサート
まとめのシェアリング
体験(書道)
8月21日
解散
8月22日
パレスチナ人参加者帰国
参加者からのメッセージ
KIZUNAで出会った人たちは出身も国籍も年齢も専攻も異なる人たちで、彼らとの生活はとても刺激的でした。私の将来の夢を否定せず、新しいアイデアをくれたり、プロジェクト後に自然に関する活動を紹介してくれたりと自分の考えを見直すきっかけになりました。また、言語の異なる人たちとのコミュニケーションはとても緊張しましたが、文化や考え方の違いや共通点など、たくさんの「初めて」を経験することができました。
<日本人参加者>
小菅村での一週間の生活は優しさと自分と向き合う時間でいっぱいでした。いろんな体験を通して、また、体験プログラム以外でも小菅村の人の優しさにふれる機会が多かったです。
<日本人参加者>
持続可能な社会を実現するためには、次世代のことだけではなく、同じ時代を違う場所で生きる人々のことも考えなければならないということを学びました。都市で暮らしていると自分が自然のサイクルの一部であることを忘れてしまいがちですが、小菅で生活する人々は、自分たちが出したごみや汚水がその後も循環し続けること、人間が常に自然から恩恵を授かっていること、そしてこのサイクルを守る責任があることを、いつも意識しているように感じました。小菅の人々が東京のことを考えて暮らしているように、離れた場所や未来のことを想像できる広い視野を持つようにします。
<日本人参加者>
自然とのつながりと穏やかな平和を感じました。自然の中で暮らすことで、人はより礼儀正しく、優しくなれるのだと、小菅村の人々の優しさを感じました。同じ言語を話せなくても、異なる文化を持つ人々と関係を築くことができるということがわかりました。以前よりも自分自身を感じられるようになり、これまで以上に自分が自分であるという自信を得ることができました。
<パレスチナ人参加者>
山が水を守ること、小菅の人々が森を守るために大変な作業をされていることを学びました。環境を守ろうという強い意志を持ち、そのために最善を尽くす必要があるということに気づきました。
<パレスチナ人参加者>